木原たか子皮フ科クリニック
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木原たか子
皮フ科クリニック
西宮市甲子園七番町
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TEL 0798-49-4112
 
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11月12日「いい皮膚の日」 −「しみ」を考える−

皮膚のお話
神戸新聞 2008年11月15日掲載
  出席者 神戸大学医学部皮膚科講師
木原たか子皮フ科クリニック院長
船坂陽子医師
木原貴子医師

 紫外線から守れ肌



  はじめに
年を重ねるとともに顔や首筋、手などに「しみ」が増えてくる。
しみを取れば確実に若返るので、女性ばかりでなく、男性の間でもしみ取りへの関心が高まっている。
幼いころから浴び続けてきた紫外線が大きく影響しているのだが、紫外線は日焼けやしみ、しわだけでなく、時に遺伝子を傷つける。 それだけに、単にしみを取り、美白剤などで肌を白く美しくすればいいというものではない。
11月12日は「いい皮膚」の日。皮膚科の専門医にきれいにしみを取って、上手に紫外線と付き合う方法を聞いてみよう。
 

 年齢、ホルモン関係 / 手や顔など要注意 
  ■ 種類は・・・

 ― 「しみ」にもいろいろあると思いますが、どんな種類があるのですか?

船坂
まずは老人性色素斑。これは年齢とともに出てきます。それから肝斑(かんぱん)は女性ホルモンが関係しています。いずれも紫外線を慢性的に浴びることによって引き起こされるので、紫外線対策が欠かせません。それから日本人には少ないのですが、そばかすのようになる雀卵(じゃくらん)斑、さらに皮膚の深いところにできる遅発性両側性太田母斑様色素斑があります。
木原 皮膚は表面から角層、表皮、真皮、皮下脂肪とあります。太田母斑様色素斑以外のものは、表皮の部分にメラニン色素が沈着してできます。
船坂 それぞれに適した治療があり(表参照)、場合によっては、しみだと思っていたものが、ほくろの皮膚がんだったというケースもあるので、きちんと専門医の診断を受けることをお勧めします。日本皮膚科学会も認定医制度を設けているので、参考にしていただければと思います。
 

 ― しみは、やはり顔にできるケースが多いのですか?

木原
しみは紫外線に起因しているので、顔、手など紫外線を浴びる場所にできます。女性の場合、顔は紫外線対策をされている方も増えているので、手にできることが意外と多いですね。しみの中で最も多い老人性色素斑はレーザーで取りますが、最近は「顔のしみをとってほしい」という男性の患者さんも増えています。

 ― おしゃれな男性も増えていますから。

木原 しみを取ると10歳ぐらい若返って見えます。5、60代の方が最も多いのですが、70代の方も増えています。
船坂 しみが大きくて色の濃い大斑型にはQ−スイッチレーザーが効果的です。男性の老人性色素斑の場合、この大斑型が多いですね。
木原 当てたレーザーの光にメラニン色素が反応し、熱エネルギーに変わってしみが取れるので、濃いしみの方が吸収率も高く、レーザーで取れやすいわけです。薄いしみの治療は、一般的に難しいですが、IPLという光治療で徐々に薄くしていく方法もあります。これは弱い光を顔なら顔全体に当てるもので、くすみを取るような感覚です。ほかに、たまっているメラニンを取り除くケミカルピーリングという治療法もあります。
船坂 Q−スイッチを使うとかさぶたができて、一週間ぐらいはガーゼを付けることになります。ケミカルピーリングなどではそういったことはなく、どの治療法がいいのか、よく相談された方がいいですね。

 大斑型にはレーザー / 肝斑は内服薬中心 
 ■ 治療法は・・・

 ― 肝斑は女性ホルモンが関係しているということですが、
                             やはり30〜40代の女性に多いのですか?

船坂 そうですね。肝斑は妊娠やピルの服用などを機にできますが、レーザーを当てるとかえって黒くなるので、内服薬と美白剤、そして遮光の紫外線対策が治療の中心になります。内服薬ではトラネキサム酸を服用しますが、これは止血剤で使われる薬で副作用もあるので、例えば動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞などの持病のある人は慎重な投与が必要となります。

 ― 市販の薬などもでているようですが、内服薬はもちろん治療法も含めて、専門医にかかることが
                                                  大事なのですね。

船坂 そうです。メラニンはしみの原因になりますが、一方で紫外線による遺伝子の傷を防御する役目もあります。美白剤を使うと肌は白くなりますが、遺伝子も傷つきやすくなるので、合わせて紫外線対策をきちんとすることが大切になります。
木原 紫外線にはUV-A、UV-B、UV-Cがあり、このうち日焼けや皮膚がんの原因になり、皮膚や目に有害なのがUV-Bです。またUV-Aも長時間浴びると健康被害があるといわれています。
日焼け止めのクリームなどにSPFという数字が書かれています。これは紫外線防御指数といって、UV-Bを防ぐ効果を表したもので、散歩や買い物などの日常生活や、軽いレジャーなどは20〜30を目安にしてもらえばと思います。またUV-Aの防御指数としてPAというものもあり、「+」の数で表します。日常生活では「+」が2つぐらいが目安かと思います。
主なしみ取り方法
内容
肌への負担
しみの消えやすさ
老人性色素斑
肝斑
内服療法
 ビタミンC、システインなどの内服を毎日
 ほとんどなし
少しずつ
外用療法
 ハイドロキノンなどの外用を毎日
 ほとんどなし
少しずつ
ケミカルピーリング
 グリコール酸などの塗布を4〜5回
 少しあり
IPL
 可視光−近赤外線の光照射を4〜5回
 少しあり
レーザー照射
 近赤外線の光照射を1回
 かさぶたができる
×
※一般的に言われているもので、個人差があるため注意が必要

 帽子と手袋は基本 / 絹よりも綿に効果 
 ■ 対策は・・・

 ― 具体的な紫外線対策を教えてください。

木原 帽子、手袋、サングラス、日傘は基本です。帽子はつばの広い7センチ以上のもので紫外線を60%カットできるといわれています。帽子、手袋、さらに服もそうですが、しっかりと目が詰まっていて、赤、紺、黒などの濃い色が望ましいですね。材質でいえば、絹よりも綿やポリエステルの方が効果があります。
船坂 紫外線対策は毎日の積み重ねが大事になります。老人性色素斑も慢性的に浴びた紫外線の量に比例してできます。浴びた量が少なければ、それだけしみができにくくなります。

 ― 大人だけでなく、子どもにも配慮が必要ですね。

船坂 紫外線は目に見える形では赤くなったり、色素が沈着したり、さらに、しみやしわ、腫瘍などの原因となるほか、目に見えない形でも遺伝子の損傷や変異、抗酸化能の低下、異常細胞の増殖などを引き起こします。繰り返しになりますが、しみを取ったり肌を白くしたりすることは、皮膚の防御を弱めることにつながりますので、しっかりと紫外線対策をして皮膚を守ってやることを忘れないでいただきたいですね。
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